今年のEndless SHOCK

わたしが勝手におもっていることを書き連ねた完全自己満足文です。
オーラで圧倒する強気な黒木リカとも、舞台経験を積んでいる優等生な田畑リカとも違って、今年の松本リカは「コウイチがいなければ何も出来ない」を全身で表現していた気がします。うまく言えないのですが、たとえばリカがちょっと踊れてなかったりすると、そのこと自体は作品のダンス(技術)としてマイナス評価かもしれませんが、今年のリカの場合は、その踊り切れていない部分でリカの性質を際立たせているというか、演技に繋がっていた気がします。
オンブロードウェイの幕間で、コウイチにすがるリカに抵抗を覚えないのは、松本まりかがリカを「コウイチがいないと本当にダメな子」として演じているからなんだとおもいます。素直に、一途に、たとえ自分の実力がコウイチの目指す物に及ばなくても、ひたすらにコウイチを追いかける、わたしが勝手に持っている松本まりかのイメージを、そのままリカに投影してくれたような…。黒木リカでも田畑リカでも感じた違和感は、彼女達がある程度自立した「リカ」を演じていたからだとおもいます。今年のリカもコウイチに一途だけど、でもそれ以外にもトウマにも愛想を振りまいているし、もちろんアキヤマ達やフクダ達とも自然に絡んでいて、カンパニー全体から愛される存在というか…要するに妹(末っ子)要素が強いんですね。
そのリカが、コウイチがいない一年の間に

「前に進むということがどういうことなのかコウイチは教えてくれたの」
「トウマ、逃げないで。私たちは現実を受け止めなくちゃいけないの。前に進んでいかなきゃいけないのよ」

と成長しているわけです。女は強いなあと感じました。「リカは強いなあ」ではなく…(普遍的におもわせてくれるのは、松本リカがわたしの内面に迫って、わたしの中に内在しているからだとおもいます)。この心理をうまく説明できなくて歯がゆい…。
前回見たときは「田畑さんのリカが一番*」っておもったけど、この前の観劇で今年のリカがとても好きになってしまいました笑。そういう気持ちになって見るSHOCKは、きっともっと違う見方ができるんだろうなあ…。もう見れないのが残念で仕方ないです。
一幕中(コウイチがいる間)のリカは少ししつこいくらい妹要素を強調している時もあるのですが、それを丸く見せてくれるのは今年のコウイチが昨年よりも一層人間らしく、大らかな人物として演じられているからだとおもいます。リカを甘えさせる余裕があるというか…リカだけじゃなくて全員の面倒を見れるというか…。完璧主義者でやや冷徹な雰囲気を出していた一昨年のコウイチに比べると、今年のコウイチは驕らない性格や人間味で人望を集めている感じがするのです。もちろん、今年のコウイチにも鋭さがあるのだけど、コウイチの持つ鋭さはオンとオフがはっきり分かれていて、そのメリハリがまたとてもよかった。
リョウはコウイチの弟(素直になれない弟)、ツバサは真っ向から対立するライバル、という意識で見ているのですが、トウマはライバル要素7割と弟要素3割という感じがします。ちゃんとオフブロードウェイではカンパニーの仲間としてよくやっているのに、オンブロードウェイで狂気に取り付かれているところがすごく好き。「こっち(オン)に来てからみんな何かおかしい」というセリフに一番適合するのは言うまでもなくトウマ。ともすれば違和感を覚えてしまうようなちょっと情けないような姿や狂気を孕んで暴走する姿も、生田さんが演じているから共感できることが多々ありました。違和感を覚えさせない理由は恐らく、彼の舞台人としての経験と感覚をSHOCKに還元して、少しずつ作り変えているからなんだとおもいます。ちょっとした表現を変えることで、伝わり方は何倍も違うんだと実感しました。それはリチャードIII世で最も感じるんだけど(これはそのままパンフに話が載っているから省略)。

総じていえることは2007年版のEndless SHOCKがとても好きだということです。2005年と2006年のEndless SHOCKももちろん大好きだけど、2007年は一層丁寧な作りになっていて、キャラクターの細部が自分の好みで、とてもよかった。千秋楽に合わせてこのエントリをあげようかともおもったのですが、とりあえず今日上げておきます。あと今日を含めて残すところ3日、みんながんばってください*